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12月 21 2011

「抜けの良い」音って・・・

それぞれの業界には、何だか意味の分かりにくい言葉があります。
つまり常套句です。

プロ野球では「気持ちで」。
「『気持ち』で打ちました!」なんて勝利インタビューでいってますね。

サッカーでは「決定的」。
「決定的なチャンスを逃しました!」なんて実況アナウンサーがいってます。
チャンスを物にしていたら何が決定していたのでしょう。
例えば野球なら「ダメ押し点」が入ったなら勝利が「決定的」とはいえますが、野球界では使いませんね。

ビール業界では「キレ」だとか「コク」だとかいいます。
僕はビールは飲まないけれど「コク」はわかる気がします。

音楽の方へ目を向けるとシンセサイザー。
シンセサイザーの新製品が出る度にレビューなんかで「以前より音が太くなりました!」なんていってます。
バージョンアップされる度に「音が太く」を繰り返してるように思えてしょうがありません。
そんなの、「太く成り過ぎてもうブヨブヨちゃうん?」なんて思います。
この業界では褒め言葉の常套句なんですよね。

世間一般では、接続詞として「逆に」を頻繁に使う人がいますよね。
「全然、逆ちゃうやん」なんて心の中でツッこんだりします。

前置きが長くなりましたが・・・。

ギター、特にエレクトリックギターの世界では「抜けが良い」って言葉が若い人を中心に良く使われます。
僕は小学生の頃からロックを聴いている、ベテランロックギターリスナーですが、全然意味がわかんないです。

世の中にも「抜けがいい」が分からなくてウェブサイトで質問している人もいますね。
それは非常に正しい!
分かったつもりで上級者ぶってそんな単語使ってはダメですね。
それこそ、「裸の王様の家来達」です。
先のウェブサイトでの質問に答えている人達にも統一感はなく、「ただ音が良い」とか「好きな音」だとか非常に曖昧な答えもあります。

もう少し理屈の通った説明をする人もいます。
例えば
「バンド内で埋もれない音、つまり前に出る音」
という人もいます。
なるほどとも思いますが、それでは単独でギターを弾いて「抜けが良い」と言っている人には当てはまりません。

「抜けが良い」をギターに限らず考えてみると「部屋の音響」が思い浮かびます。
反対の「抜けの悪い」部屋とは定在波が残って「ぼわぁ~ん」とした残響が残る部屋、ウェットな状態ですね。
それでは「抜けの良い」部屋とは残響の少なめな部屋、デッドな状態ですよね。
つまり、どちらかというと残響がスパっと切れる「デッドな部屋」が音響的に「抜けのいい部屋」いえるのかもしれません。

話をギターに戻します。
では「抜けが良い」ギターの音に迫ってみたいとおもいます。

まず「抜けが良い」を褒め言葉に使っています。
「このギターは抜けが良すぎて音が悪いね」なんて聞いたことないですし。

次に「良く聞こえる音」であると言えるかもしれません。
違う言い方をすれば「良く通る音」とも言えます。

それでは「良く通る音」とはどんな音でしょう。
人の声でも「良く聞こえる声」「良く通る声」ってありますよね。
どちらかといえば、高域成分の多い声がそれに当たりますね。
間違ってもお相撲さんの太い声が「良く通る声」とは言えません。
ギターでもトーンを絞りきった音を「良く通る音」とは言えません。
逆にシングルピックアップのように高域成分の多い音の方がはっきり良く聞こえる音です。
そもそも人の耳は低音が聞こえにくい特性になっていて、それを補う為にラウドネス機能などがあります。

バンドで埋もれない音に関してはどうでしょうか。
たとえギター単独で聞こえやすい音であっても、バンドで前に出てくる音だとは限りません。
他に同じ音域で鳴る楽器があればぶつかって聞こえにくくなります。
本で読んだことがあるのですが、ミキシング段階で他の楽器のぶつかる音域をカットして前に出したい音を際立たせるということもするそうです。
バンド内で前に出るかどうかはあまり問題にしないでいいと思います。
それでないとバンドのアレンジによって同じギターの音なのに抜けが良かったり、悪かったりすることになります。
とはいえ単独で良く通る音はバンドでも前に出やすい傾向にあるのは間違いないとは思います。

で、どうなの?(-_-;

抽象的な事しかいえないですよね、音なんて非常に抽象的で個人的な現象なんですから。
それでもせっかくですから「抜けが良い」ギターの音の条件を上げてみたいと思います。

  1. 良い音と感じる音
  2. 良く聞こえる音
  3. 高域成分が多い音

という感じでしょうか。
3は2の条件に当てはまれば自然にクリアーされるのだと思います。
1こそは非常に曖昧で個人的な感覚で定義しにくいですね。

結局「抜けの良い」音なん他人に伝わらないんじゃないでしょうか。
それこそ楽器のレビューの褒め言葉の常套句として「抜けが良い」を使うのは、ボキャブラリーの足らなさから逃げているようにしか思えません。
だってそうでしょう?「抜けが良い」からその音が想像できないのですから。
プロのライターさんは「抜けが良い」なんて逃げ言葉は使わないでいただきたいとつくづく思います。

僕は「抜けが良い」って言葉は嫌いです(^~^)。
このページを訪れたみなさんは「抜けが良い」をどう感じておられるのでしょう?