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5月 29 2012

チェット・アトキンスのこと

Chet Atkins - I’m Pickin’ the Blues 画像

ここ最近チェットとGretschのG6120のことばかり書いています。
そしてまた書くのですが・・・。

僕がチェットを大好きになったのはこの2~3年くらいだと思います。
G6120はこの1年くらいかな。
もちろん1980年代からチェットのことは知っていました。
その頃僕はチェットのギターといえばギブソンのソリッドボディでナイロン弦のあのギターだと思っていました。
その当時はフュージョン一辺倒でギャロッピング奏法なんかも名前すら知らなかった頃です。
今の僕にとってチェット・アトキンスといえばグレッチのG6120だし、ギャロッピング奏法です。

 

チェットといえばカントリーギターリストと言われています。
実際そうなんでしょうけど、僕はカントリーギターリストとはあまり思えないんですよね。
カントリーギターリストや、ロックギターリスト、ブルースギタリスト、ジャズギターリスト、クラシックギターリストなんていう言葉がありますよね。
でも僕はチェットをポップギターリストだと思うんです。
ポップギターリストって言葉、あんまり聞きませんよね。
そんな単語があるのかどうかもわかりません。
でもチェットの曲をたくさん聴くとそれぴったりだとわかると思います。

チェットの弾いている曲って、日本でいうと昔の唱歌や童謡みたいな優しい曲がとても多いんです。
そしてギャロッピングで弾くと軽快で楽しい感じになるんですよね。
だからアメリカンポップスや童謡、唱歌が大好きな僕がチェットを大好きになるのは必然だったと思います。
僕の大好きなチェットの代表曲、「ミスター・サンドマン」や「レインボー」「ホイール」なんかその典型だと思います。
僕はチェットのようにはなれないけれど、目指すはポップスを弾くポップギターリストです。

 

こういう古くてほのぼのしたギターを聴くと今の普通の若い人なら、「古臭くてやぼったい曲」って思うことでしょう。
それが普通でしょうし、僕も20代までの頃なら多分そう思ったでしょう。
若い頃はトゲがあるし、トゲトゲした音楽、激しい音楽が好きです。
ポップス好きの僕でさえ10代から20代までは今よりもっとハードロックを聴く割合が高かったですしね。
でも今は幅広いジャンルと時代の音楽を聴くようになりました。
それが音楽リスナーとしての成長だと僕は思います。
だからチェットフォロワーLindsey Shortちゃんなんか非常にめずらしい存在ですね。
多分、おじいちゃんか、おばあちゃんの影響じゃないのかな。

 

チェット・アトキンスをウェブ検索すると色々な情報が出てきます。
でもその中でちょっと気になる単語があります。
それはチェットを「超絶技巧」、「超絶テクニック」なんて形容しているのを見かけることです。
でも僕はそうは思いません。
人がどう思おうが勝手だし、それを否定するのも失礼なことなのですが、それとわかりつつ少し言わせてください。

僕が何年練習しようが、チェットのレベルには達する事はできないでしょうが、プロの世界では「超絶」とは言えないと思います。
そりゃ1950年代には、現代流行っているスイープアルペジオをサムピックで既にやってたりフィンガーピッキングでの高速なフレーズを弾いたりして、そのその当時はもしかしたら「超絶」だったのかもしれません。
でも同時期のレスポールもなかなかですし、もっと昔からジャンゴ・ラインハルトのような凄い人もいたし、ジャズやブルーグラス畑のギターリストには本当に強烈なギターリストがいますから、チェットに「超絶」は似合わないように思います。
それに「超絶」を頭において、チェットの演奏をみると、「へぇ超絶と言われてる割に大したことないな」なんて思われたりするかもしれません。
僕には1970年代以降の映像を見ていると、チェットは気合入れて弾いている様には見えないですしね。
チェットのタイプでいうとトミー・エマニュエルは超絶ギターリストと言えますね。

 

チェットの凄いところはテクニックももちろんなんですが、やっぱり一番はアレンジのセンスだと思います。
チェットは基本的にインストゥルメンタルの曲を演奏します。
インストゥルメンタルはアレンジが悪いと退屈で聴けたものではありません。
例をあげてみると、「ソロギター」の教則本で付いてくるCDの曲なんて、練習にはいいのですが、作品としては退屈なものばかりです。
スーパーなどのBGMで流れるMIDI機器を使ったインスタント音楽なんかも同じインストゥルメンタルでも退屈の極みです。
基本的なメロディを単純に弾くくらいなら僕のレベルでもできますが、それは観賞用の音楽とは言えるようなものではありません。
それがチェットの演奏するインストゥルメンタル曲はどれも素晴らしい作品ばかりです。
それは演奏方法やイントロ、間奏、エンディングなど非常にセンス良くアレンジされていて、音楽として成立させているからです。

 

あと、世の中にギターインストゥルメンタルを一般に広めたということも凄いことだと思います。
YouTubeでチェットの動画を見ていると、客層が一部のギターファンではなくて一般の人なんですね。
そして性別、年齢層が非常に広いことです。
それはギター大国アメリカという国民性もあるのでしょう。
とはいえ、広く一般に受け入れられたのは選曲とアレンジの良さだと思います。
チェットの曲はキャッチーで楽しく、軽快な曲が多いんですね。
まさしく「ポップ」な曲ばかりです。

 

でもちょっと疑問もあります。
どうして、マール・トラビスでなくチェット・アトキンスだったのか。
どうして、ジェリー・リードでなくチェット・アトキンスだったのか。

マール・トラビスはチェットに大きく影響を 与えた人でチェットの前からギャロッピング奏法を使ってインストゥルメンタルを弾いていました。
それでもチェットの方が世間に受け入れられたのは先の理由なのでしょうか。
そして、マール・トラビスよりハンサムだったからでしょうか?

ジェリー・リードは非常に明るく楽しい人のようです。
チェットはとてもシャイであまりぺちゃくちゃ喋るような人ではありません。
今の日本ならチェット的なシャイな人よりジェリー・リードのような陽気な人の方が人気が出たに違いありません。
コントまでしたかもしれません。
でも番組を持つくらいチェットは人気があったんですね。
ジェリー・リードが番組を持っていたかは僕は知らないのですが・・・。

それらは、その時代背景や雰囲気を知らない僕にはわかりません。
でも現実はマール・トラビスでもジェリー・リードでもなく、チェット・アトキンスが「ミスター・ギター」と言われているわけです。

もう少し昔に生まれて、チェットが最盛期の時代の空気を感じたかったですね。
偉そうに語ってしまいましたね(^~^)。